7時間一気読みの現代文学。 阿部和重「シンセミア」



笠谷保宏はすなわち、ロボット戦隊フィスト・ファックなのだった。(上・74ページ)

「ぶち込まっだぐねがったら、ベッチョぐらい我慢しろ」などと白井に諭されたが、簡単にそうできたらどんなに楽なことか!
――世界中の性犯罪者たちの魂が乗り移ったかのごとく、中山正は胸中でそうぼやいた。(下・192ページ)


あまりの厚さと濃密な文章に、少しずつ読もうと思っていたけれど、7時間一気読みしてしまった。

山形県の神町を舞台に不可解な事件が連続し、幼なじみのパン屋と警察官が中心に話が進んでいく。

多数の登場人物の性癖、性格、弱さを含め、すべてに共通しているのは、歪みだと思う。主人公格の二人も世間的には軽蔑されるだろう性癖の持ち主である。

自殺、交通事故、失踪した人々をめぐる動きは、住人の欲望や弱さとからみあって斜め上の方向へ向かっていく。

現代文学と言える作品だとは思うのだけれど、暴力や濡れ場や卑語が読者を選ぶかもしれない。僕はたいへんおもしろく読んだ。警察官が不良少年を叩きのめすところが爽快。

タイトル通り、麻薬が多くかかわっているし、性癖に対する中毒も意味しているかもしれない。

洪水で発見される死体、パン屋の受難から終盤、主要人物ほとんどが同じ運命を迎えることによって神町に安定が訪れる。

女に殺される男がやけに多いのは、何かの示唆だろうか。

隈元のおばあさんの話がむごい。



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