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物語のような豪傑将軍の一生。 阿部牧郎「豪胆の人」



「戦争に負けると惨めですねえ。絶対に負けてはいけませんな。子孫に対する義務です」(283ページ)

沖縄戦の第32軍参謀長、長中将の物語。

昭和初期から、昭和20年までの長中将の軍歴とともに話は進んでいくのだが、この長中将は事実は小説より奇なりを地で行くような人で、独断でクーデター未遂と日中和平工作、総理大臣の東条英機に直訴する直情と横紙破り、芸妓や女優、女スパイとの浮名の数々、まあ女スパイは創作だと思うけれど、何か物語の主人公を設定しろと言われたらそのまま使えそうな人だ。

普通の歴史ものとしても興味深く、いわゆる南京大虐殺は、捕虜を養う食料がなく、かといって釈放するわけにもいかず処刑したのと、南京に後退する国民党軍への追撃を急ぐあまり、補給を無視して現地徴発を行ったことが重なって全体としてそのようなものになったという見解は納得できた。もちろん、ちゃんと「国民党の過大な被害の宣伝には辟易した」と書いてあり、思想的に偏っているわけではない。そのほかにも、面白いエピソードがたくさんある。

しかし、物語的に一番面白いのは、セリフのうまさだ。作者は官能小説も書くので、濡れ場はかなり多いのだが、女優とよろしくしているシーンで、女優が長大尉(当時)に乗りながら、

「どうだ長大尉。ふだんいくら威張ってても、いまは私のお馬なんだぞ」

と言ったのには大笑いした。特に前半部のセリフの面白さは特筆。

唯一物足りなかったのは、長中将と言えば沖縄戦から知ったので、もう少し沖縄戦をじっくり書いてほしかった。

けれども、同じ作者の別の本も読みたいと思うぐらい面白かった。



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