恋に本気で命を賭けた時代。 尾崎紅葉「金色夜叉」



来年の今月今夜にになつたならば、僕の涙で必ず月は曇らせてみせるから、月が……月が……月が……曇ったならば、宮さん、貫一は何処かでお前を恨んで、今夜のやうに泣いてゐると思つてくれ。(69ページ)

明治時代、病気の令嬢が「私が死んだら続きをお墓の前で読んでください」と遺言したほどの大ヒット作。

お宮を蹴る貫一像が有名だが、読んでみると貫一を憎からず思いつつ玉の輿を夢見る宮に対し、両想いを信じて疑わない貫一が哀れでならない。

捨てないでくれと泣いて頼む貫一を振ったあげく、結婚生活が思っていたよりつまらなかったからよりを戻したいと言う宮には、貫一でなくてもふざけるなと思う。

ただ、「私を許せないなら殺してください。殺してくれないなら自分で死にます」という修羅場に代表されるが、明治は恋愛に命をかけていた時代なのだとつくづく思う。現代はたかが恋愛になってしまっている。痴情のもつれで男を刺すとか、失恋して自殺するとか最近は聞かない。みんな淡白だ。

未完に終わった金色夜叉だが、あとがきではおしまいまでの構想があり、発狂して離縁された宮と、貧乏で苦しむ親友を貫一が助けるという展開らしい。ぜひ見てみたかった。というかこれで書きたい。



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