歴史を創る情熱は、狂気に等しい。 トレヴァー・ノートン「世にも奇妙な人体実験の歴史」



「愛は過ぎ去るが、梅毒は留まる」(25ページ)

自分の体を実験材料にして、好奇心と人々のために無限の戦いを繰り広げた科学者や軍人たちの実話。

白血病患者の血液を自分に輸血したり、黄熱病患者の黒い嘔吐物を食べたりして感染経路を特定しようとした医者たち。

これに限らず、医学関係の自己実験は読んでるだけでぞっとする。

一番仰天したのは、漂流状態でのサバイバル術を確立するため、水も食料も持たず、ゴムボートで大西洋を海流に乗って往復した男の話。生魚を絞って水分とビタミンを取り、少量の海水でカリウムを補給して、無事……とは行かないが生還した。

あとがきにも書いてあるが、これらの人々には「狂」の芳香がする。20世紀の後半まで、貧民や孤児院、養老院の人々を人体実験に使うことへの罪悪感はほとんどの研究者が持っていなかった。しかし、自己実験にこだわる狂熱を持った科学者はそれを潔しとしなかった。

研究者である自分でなければ判らないことがあり、他人を使ってデータを取得するなど好奇心が許さなかったのだろう。

内容、量ともにボリュームがあるが、読み切った後には彼らの「狂」への敬意が芽生えていると思う。



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