オッサンも優しい気持ちになる青春小説。 野村美月「下読み男子と投稿女子」



嫌いな相手がいないということも、すべての作品を楽しめるということも、裏を返せば”特別”がないということだ。”執着”がないということだ。(ページ未詳)

ラノベ新人賞の下読みバイトをする男子高校生が、偶然クラスメートの作品を見つける。クールで無口な彼女とはあまりにもギャップがありすぎて――というところから始まる。

僕がラノベを読むのは珍しいが、久しぶりに誰も傷つかない話を読めて優しい気持ちになった。もし主人公たちと同世代のときに読んでいたら、自分の現状と比べてのたうちまわっていただろう。この歳になってようやく青春ストーリーを虚心に楽しめるようになったかと思う。

小説内の人物が小説内の出来事を「伏線」としてとらえ、それを「回収」することを意識しているのはおもしろいやり方だと思うし、ヒロインの小説内小説が現実と重なっていくクライマックスも盛り上がりとカタルシスがあった。

それに加えて、これは投稿指南小説でもある。あとがきでも著者は下読みの経験があることが示されていて、投稿された作品がどうやって選抜されていくかの内幕は真実に近いのだろう。

下読みが迷って2次審査に送ったものが、それ以上に行くことはないという。受賞する作品は、1次審査の中でも突出しているのが判るそうだ。作品ではそこに至る方法は書かれていないが、僕は知っている。

読み続け、書き続け、考え続ければ、いつかその地点を通過することができるだろう。



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